前回の記事で、親をもの忘れ外来に受診してもらうには、かかりつけ医に勧めてもらってから専門病院(認知症疾患医療センターなど)に受診するという流れを書きました。
その流れは一般的なのですが、自分だったらどうするかな?と考えたときには、違う方法を取るかもしれないなと思ったので記事にしてみたいと思います。
親との関係性は?
私自身自分で言うのもなんですが、親との関係は良好だと思っています。両親は数年前に自営業を廃業し、現在はのんびりとしたいわゆる「老後」を元気に過ごしています。父は70代半ば、母は60代半ばです。近くに住んでいるため、お互いに近況もよくわかっているつもりです。
脳ドックを勧めてしまいそう
何となく親のもの忘れが気になったら…もし親から「心配だ」と相談を持ち掛けられたら、かかりつけ医に紹介状を書いてもらって専門病院に受診しようと勧めると思います。でも、もし自覚が無かったら…?「いきなり認知症かもしれないから、病院に相談しに行こう」とはとても言えません。「年齢も年齢だから一度きちんと脳の画像をとってもらうと病気のリスクがわかっていいよ」と「脳ドック」を勧めてしまいそう。でも、脳ドックだけでは実は認知症かどうかはわからないのです。脳ドックでは、MRIやなどの画像検査だけのことが多く、脳血管の状態は見れても認知症かどうかまではわからないのです。「認知症ドック」と呼ばれるものの中には画像検査に加えて問診などの検査もあるため、早期発見には役立つかもしれません。でも、症状があるのに認知症ドックとなると、保険が適用にならないため高額な費用がかかるし・・・と考えてしまいそうですね。いずれにしても、親を病院に連れて行くのは結構悩んでしまいますね。関係性が良くても中々踏み切れないものです。
あれ?と思ってから受診するまで平均9.5か月
皆さん、あれ?認知症?と思ってから受診するまでに平均9.5か月かかっているという調査結果1がでています。「病気かも」とは信じたくない本人家族の迷いが9.5か月もの期間を要するのでしょうか。それもありますが、認知症疾患医療センターなどの専門病院は予約制が多く、初診は診療時間も長くかかるため予約が3か月後になってしまう場合もあります。そのため、受診までの期間が長くかかる傾向があります。
- 出典:認知症の診断と治療に関するアンケート調査調査報告書2014年日本イーライリリー株式会社https://www.alzheimer.or.jp/wp-content/uploads/2021/03/shindantochiryo_tyosahoukoku_2014.pdf
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兄弟姉妹に相談する
もし、私が相談するならまずは兄弟姉妹に相談すると思います。私には妹と弟がいて、3人兄弟です。兄弟のグループLINEもあり、たまに連絡を取り合っているので兄弟仲は割と良いと思っています。親の生活を見ていて、どんな場面でもの忘れが気になるのか、受診した方が良いと思うけどどのように勧めたらよいと思うか相談します。やはり、将来のことを考えて、「聞いていない」にならないように話しておくと良いと思います。
もの忘れが無い方の親にまずは相談する
兄弟間で話がまとまったらいよいよ両親へ相談します。もしも両親が揃っていて、片方の親の症状が気になるようだったらもう片方の親にまずは生活状況の確認をしつつ早期受診が大切であることを私だったらまず説明するでしょう。そこで作戦を練ります。
作戦1:かかりつけ医の先生から本人に受診を勧めてもらう
作戦2:もの忘れが気になる片方の親に受診してみようと勧める
作戦3:両親で受診してみることを勧める
順番に考えてみましょう
作戦1:かかりつけ医の先生から受診を勧めてもらう
私だったら作戦3にするかと思います。それは、両親の受診に対する心理的ハードルを下げてくれると思います。そして、予め受診予定の外来に事情を事前に説明をしておきます。(実際、このようなパターンでのご夫婦受診はとても多いです。)
でも一番大切なことは…
当たり前ですが、本人の気持ちが一番大切なことは忘れてはいけないでしょう。無理やりもの忘れ外来に連れて行ったとしても家族関係が悪化しては元も子もありません。一般的な認知症という病気との付き合いは長期に渡ります。もの忘れが始まって困っているのは本人です。心の中では戸惑いを感じているかもしれません。でも、認めたくない気持ちもあるでしょう。もの忘れを指摘されると怒れてしまったり、否定したい気持ちも芽生えると思います。触れられたくないことを指摘され続けるのも気持ちが落ちてしまうこともあります。
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